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酒類の成分分析に関する研究 2014年度(平成26年度) | 資料集 | 大分県産業科学技術センター

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Academic year: 2018

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(1)

酒 類 の 成 分 分 析 に 関 す る 研 究

後 藤 優 治 ・ 松 田 み ゆ き ・ 佐 野 一 成 ・ 江 藤 勧

食 品 産 業 担 当

R e s e a r c h o f A n a l y s i s o f t h e i n g r e d i e n t f o r l i q u o r

Y u j i G O T O , M i y u k i M A T S U D A , K a z u n a r i S A N O , S u s u m u E T O

F o o d I n d u s t r y S e c t i o n

要 旨

酒 類 の 微 量 成 分 に 関 す る 分 析 方 法 を 検 討 し た . 香 気 成 分 に つ い て は 分 析 条 件 を 決 定 し , 県 内 酒 造 場 の 焼 酎 サ

ン プ ル を 用 い て デ ー タ の 蓄 積 を 行 っ た . ま た , 得 ら れ た デ ー タ を 用 い て 官 能 評 価 と 相 関 す る ピ ー ク に つ い て 解 析 を 行 っ た . そ の 結 果 ,官 能 評 価 と 相 関 す る 成 分 は 検 出 で き な か っ た が ,蒸 留 区 分 や 製 造 所 毎 の 特 徴 が 認 め ら れ た .

香 味 成 分 に つ い て は , 分 析 条 件 を 検 討 し た . 焼 酎 で の 分 析 で は 再 現 性 の あ る デ ー タ の 取 得 は で き な か っ た .

蒸 留 区 分 や 製 造 所 毎 の 特 徴 に つ い て は 製 造 や 品 質 の 管 理 指 標 と な る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た .

1. はじめに

麦焼酎,清酒などの酒類は当 県の主要な産品であるが,

消費の下落傾向が止まらず,酒類業界を取り巻く環境は厳

しくなってきている.このよ うな状況の中,醸造関連企業 においては新商品の開発や既 存品のPRに取り組 んでいる.

酒類の評価は官能試験による ところが大きいが,その他の

評価方法のひとつとして機器 分析が挙げられる.官能試験

は人の感覚を用いた試験方法 であり,感度が良く ,嗜好品

である酒類の評価に適してい る.しかしながら,経験や体

調,個人の嗜好などに大きく 影響を受ける.一方,機器 分 析では各成分について比較や 定量ができ,客観的な評価が

でき,再現性も高い.その た め,酒類の評価方法として企

業からの問い合わせも多い.しかしながら,分析機器が高

価であるため,品質評価方法 の1つとして導入している企

業は少数であり,センターで も焼酎以外の酒類については 分析実績が少ない.

そ こ で 酒 類 に 含 ま れ る 様 々 な 成 分 を よ り 多 く 分 析 す る

方法を検討し,分析データを 蓄積することで,酒質として

評価できる成分については,酒類の評価との関連を考察し , そ の ほ か の 成 分 に つ い て は 酒 質 や 製 造 条 件 と の 関 連 に つ

いて検討する必要があると考 え.清酒及び焼酎の成分につ

いて検討を行ったので報告す る.

2. 方 法

2.1 香気成分の分析

昨 年 度 に 検 討 し た 分 析 条 件 を 基 に , 微 量 成 分 の 分 析 条

件について検討を行った.

分析機器は,GC2010 型ガス クロマトグラフ【FID 検出

器】(㈱島津製作所製),7890B GC System【FID検出器】(㈱

アジ レン ト・ テク ノロ ジー 製 ),6890B GC System【 MS 検

出 器 】( ㈱ ア ジ レ ン ト ・ テ ク ノ ロ ジ ー 製 ) の 3 機 種 ,

HeadspaceSampler HS-40 ( ㈱ パ ー キ ン エ ル マ ー ジ ャ パ ン

製 ), カ ラ ム は DB-WAX カ ラ ム (60m,0.32mm,0.25 μ m) , DB-624(60m,0.25mm,1.4μm),HP-INNOWAX(60m,0.25mm,0.5

μm)を用いて条件検討を行っ た.また,シリカモ ノリス捕

集剤 MonoTrap(GL Science製)を用いて濃縮分析の検討

を行った.

2.2 香味成分の分析

文 献 等 に 記 載 さ れ て い る 方 法 を 基 に , セ ン タ ー 所 有 の

機器で分析できる条件を検討 した.

分析機器は,ACQUITY UPLC シ ステム(日本ウォーター ズ株式 会社 製),Xevo QTof MS(日 本ウ ォー ター ズ株 式会

社製),カラムはACQUITYUPLCHSSC18カラム(日本ウ ォ ーターズ株式会社製)を用い て分析条件 の 検 討 を 行 っ た .

平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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3. 結果および考察

3.1 香味成分の分析について

分 析 機 器 , カ ラ ム , 分 析 条 件 の 検 討 の 結 果 , 7890B GC

System【FID 検 出器】(㈱ ア ジレン ト・ テク ノロ ジー 製),

DB-624(60m,0.25mm,1.4μ m)を 用 い るこ と でよ り 多く の ピ

ークが安定して検出できるこ とが確認できた.

ま た , シ リ カ モ ノ リ ス 捕 集 剤 に よ る 濃 縮 分 析 に つ い て

はピーク数の顕著な増加は認 められなかった.

そ こ で , こ こ で 得 ら れ た 分 析 条 件 で 種 々 の 焼 酎 サ ン プ

ルでのデータ取得を行った.

3.2 香味成分の分析について

文 献 記 載 の サ ン プ ル は ビ ー ル 類 で あ っ た た め , 市 販 発

泡酒及びビールを用いて検討 した.各1種類のサンプルで

あったが,ビールと発泡酒の 違いを明瞭に検出できること

が確認できた.

そ こ で , こ の 条 件 を 用 い て , 焼 酎 サ ン プ ル の デ ー タ 取

得を試みた.いくつかの成分 が検出されたが,再現性が低

く,それぞれの差異を検出す ることはできなかった.これ

は,焼 酎に おける 可溶 性成 分 (香味 成分 -糖, アミ ノ酸,

酸)が少ないためと考えられ た.

3.3 焼酎サンプルのデータ取得について

香気成分の取得データをまと めたものを Fig.1~3 に示

した.減圧,常圧の区分 ,イ オン交換の有無の区分でそれ ぞれ特徴のある共通のパター ンが得られた(Fig.2).また,

ピークパターンには各製造所 の特徴が有り,いくつかの製

造 所 に つ い て は 同 定 が で き る 程 度 の 違 い が 認 め ら れ た

(Fig.3).これらの違いは蒸 留機やもろみの管理といった

製造条件に由来するものと考 えられる.

し か し な が ら , 官 能 評 価 の 結 果 と 比 較 を 行 う と 相 関 す るピークやパターンは認めら れなかった.

イソブチルアルコール

イソアミルアルコール

フェネチルアルコール

Fig.1 県内酒造場焼酎にお ける香気成分分析

(一般的な成分) 減圧

イオン交換有

減圧

イオン交換無

常圧

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平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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アセトアルデヒド

不明な成分A

Fig.2 県内酒造場焼酎にお ける香気成分分析

(製造条件に特徴的な成分)

酢酸エチル

プロパノール

酢酸イソアミル

Fig.3 県内酒造場焼酎にお ける香気成分分析

(製造所毎に特徴的な成分) 減圧

イオン交換有

減圧

イオン交換無

常圧

減圧

イオン交換有

減圧

イオン交換無

常圧

平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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4. まとめ

今 回 の 試 験 で は , 焼 酎 の 香 気 , 香 味 成 分 に つ い て 分 析

条件を決定し,データの取得 を行った.その結果,製造 所

や製造条件毎で特徴のある成 分が認められたことから,製

造条件や品質管理の指標とで きる可能性が認められた.

し か し な が ら , 酒 質 の 違 い に 関 連 す る 成 分 の 特 定 に は 至らず,官能評価と分析成分 を相関させることは困難であ

ることが予想された.これは 官能評価の結果が複数の成分

の バ ラ ン ス や 分 析 結 果 に 反 映 さ れ て い な い 成 分 の 寄 与 が

あるためと考えられる.

ま た , 清 酒 に つ い て は サ ン プ ル 数 が 少 な く 結 果 を 比 較

検討するだけのデータ取得に 至らなかった.

5. 今後の方向性

今 後 は , 微 量 成 分 や 不 揮 発 成 分 の 分 析 条 件 に つ い て 検

討を続けたい.また ,分析で きる成分については保管等に よる品質劣化の有無,製造条 件による生成成分の変化につ

いて検討を行いたい.

平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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平成26年度 研究報告 大分県産業科学技術センター

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